6試合負けなしのザスパクサツ群馬と、リーグ戦わずか1敗しかしていないセレッソ大阪U23の上位対決。
次節も上位のアスクラロ沼津ということでJ2昇格に向けて分岐点になりそうな2戦に臨むザスパクサツ群馬のホーム戦となった。
J3で屈指のスピードと攻撃力を誇るセレッソ大阪U23の攻撃をどうやって防ぎ反撃の機会を狙うかがこの試合のキーポイントとなった。
そのことを踏まえてかザスパクサツ群馬は、コイントスで勝利し、前半は風下を選択した。
セレッソ大阪U23の早い攻撃に苦しむザスパ
前半開始からセレッソ大阪U23の選手個人の能力の高さを見せつける。
とにかくパスを受ける前の動作だったり、トラップやパスの正確性など個人技術が素晴らしいセレッソ大阪U23。
山内と米澤の動き出しは素晴らしくどんどんパスを引き出していく。
特にダイアゴナルに入ってくる動きに、ザスパクサツ群馬ディフェンス陣は翻弄された。
トラップミスも少なくシュートを打ちやすい場所にボールを落とすと素早く正確に枠内をとらえた。
ただ、ザスパクサツ群馬に守護神・松原修平がいる。
何分かに1回は訪れるセレッソ大阪U23のシュートチャンスをタイミングよい飛び出しや、反応の良いセービングでシュートをブロックして見せた。
ザスパクサツ群馬の前半は公式記録で11本もセレッソ大阪U23からシュートを浴びた。
単純に計算しても4分に1回はシュートを打った計算。
セレッソ大阪U23の攻撃はとにかく相手ゴールへ早くという攻撃。
それでもセレッソ大阪U23がノーゴールに終わったということは、ザスパクサツ群馬が持ち前の粘る強い守備でしっかりと耐えた結果だ。
これが後半のザスパクサツ群馬の劇的勝利につながる。
終了間際に高橋駿太が劇的ゴール
セレッソ大阪U23が優れている事ばかり書いているけど、ザスパクサツ群馬が勝っている部分もある。
いわゆるデュエルと言われる1対1の当たりの強さやフィジカルの部分で勝っていた。
セレッソ大阪U23の選手は良く倒れる。
接触プレーが痛いのは良くわかっている。
それでも倒れることなくプレーを続ける強靭さは世界レベルでも求められている。
若い選手が多いセレッソ大阪U23の選手だけれども、簡単に倒れすぎです。
おかげで、狭い局面での戦いはザスパクサツ群馬が勝った。
そんな対極にいる両チームだからこそ、ゲームマネージメントにも大きく違った。
選手もボールも早く動き、ゴールまで早くに攻めあがるセレッソ大阪U23に対して、ザスパクサツ群馬はじっくりと攻めた。
ボールをしっかりと動かしながら、前線でタメを作り、逆サイドまでの展開を作る。
無駄な早攻めはせずに前半からボールをしっかりと動かしてセレッソ大阪U23の選手達にしっかりと足を使わせた。
これはここ数試合、セレッソ大阪U23は後半に足がなくなるというスカウティングがあったからなのかもしれない。
後半ゲリラ豪雨に襲われスタンドは危険な状態に
後半68分。
突然のゲリラ豪雨が正田醬油スタジアムを襲う。
なれたファンやサポーターはカッパやポンチョを常に準備しているが、初めて見に来られたような方はまさかの雨だったようで、スタンドからお客さんが階段下のコンコースに一気になだれ込んだ。
事故は起きなかったが、フロントには今後の対応に気をつけてもらいたいものだ。
観客は4700人だったが、これが1万人クラスだったらと思うとゾッとする。
この雨でピッチはすべりやすい状態になり、足に疲労がたまってきたセレッソ大阪U23の選手は足を取られて滑るシーンが増えた。
それでも大熊監督は前半に怪我で選手交代しただけで、フレッシュな選手を交代で入れることは無かった。
セレッソ大阪U23の攻撃はゴールこそ奪っていなかったけど上手くいっているという判断だったのかもしれない。
高橋駿太と大久保哲哉が攻撃をけん引
対してザスパクサツ群馬の布監督は後半勝負という作戦通り、後半67分に高橋駿太と大久保哲哉を交代で投入。
前線に高さとスピードを付け加えた。
後半79分。
大久保哲哉の落としを高橋駿太が鋭く抜け出してフリーで抜け出してシュートを放った。
ここはセレッソ大阪U23のゴールキーパーの好セーブに防がれたが、布監督の采配がゴールを予感させた。
さらに後半86分。
右サイドで崩すと大久保哲哉が中央にクロス。
中央に走り込んでいた高橋駿太がフリーでヘディングシュート!
これは惜しくもクロスバーの上に・・
交代で入った大久保哲哉と高橋駿太がザスパクサツ群馬の攻撃をけん引していく。
ここまでくると雰囲気はザスパクサツ群馬に傾く。
後半89分。
センターサークル付近の阿部巧のパスカットから始まる。
攻守の切り替えでこれまで見せなかった速攻を繰り出すザスパクサツ群馬。
パスを受けた風間宏希が倒れながら吉田直矢へ。ここで主審はアドバンテージを見る(解説者もナイスアドヴァンテージと絶賛)
吉田直矢が左サイドの高橋駿太へ絶妙なスルーパス。
高橋駿太も1トラップ目を完璧な位置に置きそのままニアサイドを破った。
劇的なゴール!!
スタンドはもう大騒ぎ。
写真どころじゃないぐらい興奮してしまってロクな写真ない(笑)
そしてそのまま試合終了。
1-0の劇的な勝利で個人の能力で勝るセレッソ大阪U23に勝利した。
個人の力ではセレッソ大阪U23には負けていたけど、チームとして絶対にJ2に昇格するんだ。
どんな試合でも勝つんだという気持ちの部分では勝っていたザスパクサツ群馬が勝利した。
それが、松原修平のスーパーセーブや高橋駿太の劇的なゴールとなったと思う。
これで首位とは勝ち点差5となり、昇格圏内の2位とは勝ち点差2となった。
開幕当初は不安もあったけど、ここまでチームを仕上げてきた布監督の手腕は素晴らしい。
これで最近7試合で負けなし。
直近2試合は無失点試合とザスパクサツ群馬のチーム力は安定してきた。
勝利の立役者としてはゴールをあげた高橋駿太。
それまで無失点で切り抜けた守備陣と素晴らしいセーブでゴールを死守した松原修平。
これまでDAZNの週間ベストセーブにも何度も選ばれたように松原修平はすっかりJ3でも注目の選手となった。
そんな選手でもJ2では控えに甘んじてたんだから不思議だ。
目立たないところだけどボランチの吉田直矢の成長は大きい。
中盤でのボール奪取力と決定的な縦パスを出せる存在になってきた。
展開力のある風間宏希とのコンビも上手くいっている。
2017年ゴタゴタの中でtonan前橋から獲得できたことは今となっては一番の収穫だったのかもしれない。
今後はゴール前での嗅覚を身に着ければJ2中位以上のクラブからオファーが来てもおかしくない。
あと数年はザスパクサツ群馬で活躍してもらいたいが、近い将来の移籍は避けられないかもしれない。
良かった点
松原修平の神がかりセーブ
吉田直矢の急成長
高橋駿太のゴール
試合終了まであきらめない気持ち
悪かった点
スピードのある突破にはついていけない
つまらないパスミスからのカウンター
次節はアウェーで3位・アスクラロ沼津と対決する。
苦しいアウェーではあるが、ここで勝つことで上位進出を盤石なものにしたい。